漢方と東洋医学と中医学、どう違うの?
「漢方」と聞くとあの、苦くてクサーい漢方薬のイメージがあるでしょうか?
では「東洋医学」や「中医学」とは何が違うの?
また、西洋医学との違いや東洋医学ならではの特徴についてこの記事ではお話したいと思います。
漢方とは(語源)
「漢」とは、「中国」を指しています。本来は中国古代の王朝名(漢時代)を指す言葉ですが、ここから転じて中国のことを「漢」と呼ぶようになったようです。
「方」は方技、方術、医術のことです。
つまり「漢方」とは「中国から伝来した医術」を意味する、日本人が作った言葉です。
中国伝統医学を日本で独自に発展させたのが漢方になります。
東洋医学と中医学
「中医学」とは、中国伝統医学の略です。陰陽、五行などの古代の自然哲学をベースに発展した医学です。
「東洋医学」は中医学、漢方どちらも含まれ、同意語的に使われますが、広い意味での東洋医学とはインドのアーユルヴェーダ、チベット医学なども含んでいます。
古代中国で発症した中国伝統医学は日本においては、漢方医学(和漢方)、韓国においては韓医学として発展してきました。
ややこしくなりましたが、
東洋医学 | 中医学 | 中国伝統医学 |
漢方医学 | 中医学をもとに日本独自に発展したもの。和漢方。 | |
アーユルヴェーダ | インド、スリランカに伝わる伝統医学 | |
チベット医学 | チベット仏教のラマたちによって伝えられる伝統医学 | |
韓医学 | 中医学をもとに韓国で発展したもの。東医学。 | |
など |
ということになります。
厳密にいうと中医学と漢方医学には理論的に大きな違いがあります。このサイトでは、みなさんによりなじみのある「漢方」という言葉も使いますが、その中には中医学の内容も含んでいます。
東洋医学と西洋医学の違い
西洋医学では、体のどこかの臓器の異常だったり、検査値の異常などを診断し、病名をつけ、薬や手術などで治療をします。
東洋医学は、「体の一部分が悪い」といった見方はせず、体のどこかに何かの症状が出ているということは、体全体のバランスの乱れが起きているためと考えます。体に現れた症状や病気の状態を「証」として捉え、治療します。
例えば、頭痛がある場合、西洋医学では痛みをとるための鎮痛薬を飲みます。これは対症療法のため、一時的に痛みは治まっても、また何かあれば頭痛を引き起こしてしまうでしょう。
東洋医学では頭痛を引き起こしている心と体の状態を見極めて、頭痛を引き起こさない心と体にすることで治そうとします。頭痛を起こしている人でもそれぞれ体質や生活環境、生活習慣が違うのだから、その対処法も当然違ってきます。これが、東洋医学はオーダーメイドの医療と呼ばれる理由です。
「証」とは何か
「証」とは、自覚症状や、多角的所見(舌の状態、顔色、腹診、脈診)から、東洋医学的理論(陰陽論、五行説、蔵象学説など)の理論を組み合わせて得られた総合評価のことです。
なんだか難しそうですね。
言い換えると、中医学にある人間や世界のしくみをはかるいろいろなモノサシ(理論)を使って身体の状態や体質を総合的に評価した診断結果であり体質タイプのようなものです。
「証」を見極めることによってどのような治療や養生をしたらよいかが分かります。
体質タイプについては自分自身でもチェックでき、セルフケアに役立てることができます。
まとめ
- 漢方とは中医学をもとに日本で発展した独自のもの
- 東洋医学は広い意味で、中医学、漢方、アーユルヴェーダなどが含まれる
- 東洋医学はその人の「証」をみて、体全体のバランスを整えようとするオーダーメイドの治療
ということでした。
東洋医学や漢方というと「漢方薬」のイメージが強いかもしれませんが、鍼灸、気功、按摩、養生も含まれます。
特に、「一に養生、二に薬」と言われるくらい、養生は大切で、食養生として「薬膳」があります。それも難しいものではなく、普段の食材を東洋医学の知恵によって食べることで体のバランスを整えていきます。
東洋医学の知識によって自分の体質を理解すれば病気を予防したり、不調を改善することができます。
他の記事ではその具体的な方法についてもお伝えしたいと思います。